原画ダッシュ展 牧美也子×竹宮恵子 座談会 レポート!

前回に引き続き、「松本かつぢ牧美也子 可憐で華麗な世界」展の初日のレポートです!


初日は、特別イベントとして、出展作家の牧美也子先生と原画ダッシュのプロジェクトリーダーである竹宮惠子先生の二人の座談会が開催されました。

話題は、まずは、今回の原画ダッシュの制作について。


制作の苦労といえば、
今回二人の原画ダッシュの色の再現で難しかったこと、
一つ、松本かつぢ先生の焼けた紙の地色
一つ、牧先生の使用している艶のある黒色
でした。

どんな光の下で色調整をするかがまず重要な問題で、分かりやすい例でいえば、蛍光灯と白熱灯とでは色の見え方が全然違いますよね?色調整する際には、非常に気を使う問題です。
ちなみに今回は、今後美術館施設などが、LEDライトへの使用転換していくことを見越して、二人の作家さんの調整は、色のない昼白色の下で調整をしました。
しかしながら、紀伊國屋画廊は、ハロゲンライトのスポットタイプだったので、竹宮先生の原画比較コーナーでは、画廊のライトに合わせて、直前まで先生が色調整に苦心して作成されたのです!
また、紙によってインクの出方などは悩ましく、牧先生の艶のある黒は、最後まで苦労したところです。


そういった話を竹宮先生からしていただき、牧先生からも強い賛同いただきました。
ダッシュによって、作家さんの下で埋もれてしまっている素晴らしい原画の魅力を伝えることができれば嬉しいですね。


また、牧先生から、マンガ家を志した頃の思い出話など、興味深い話もたくさん聞くことができました。

「こうして自分の作品を並べられると、同じ作家とは思えない位、画風が変化している。しかし、描きたいものに素直に挑戦しつづけた結果だと思います。」

自身の作品について、こう語っていた牧先生。本当にすてきですね。


確かに、少女マンガ誌で活躍していた時代から、レディコミや青年誌で活躍する現在の画風とではだいぶ違うように見えます。
30点ほどの少ない点数で牧先生の変遷を見るのもなかなか難しいと思うのですが、
実は、「違っている。けど、つながっている」という点に気付いていただきたいところです。
なかなか、作品の画だけ見ても、伝わりにくいかと思うのですが、これを機会にぜひ牧先生の色んな作品を読んでもらいたいですね。


少女マンガ誌時代に描いていた作品は、実はとても大人っぽい話が多いのです。例えば、「りぼんのワルツ」は、少女たちが憧れるバレエやフリルのお洋服などの要素を持ちつつも、話の内容は、病院での赤ちゃんの取り違いから巻き起こった本当の母親探しなど、サスペンスドラマのような展開のお話なのです。そんな作品を描く牧先生が、美貌を武器に男達を翻弄させる主人公の『悪女聖書』のような話を描いたのも納得できるし、『源氏物語』などの華やかさは、少女マンガ誌時代に培ったものが大きいと私は思います。


牧先生、竹宮先生、楽しいお話ありがとうございました。



会場には、130人を超える人で溢れ大盛況!施設の都合上、マイクが使えませんので、なかなか奥の人には聞こえずらかったりと、至らない点も多々あったかと思いますが、前につめていただいたり、ご協力感謝いたします。


また、終わりにはサイン会も開催されました。



初日は、座談会も含め200名を超えるお客様が足を運んでくれました!
みなさまありがとうございました。

これからも、引き続き本展覧会をよろしくお願いします。


(mochi)